東京古書組合

普通のお店がかっこいいと思ってもらえるようなマジックを


広報■去年、都内のお店を巡ってもらうスタンプラリーをやった時、自分でも街の小さな古本屋さんに行かせていただきました。「しんどいんだろうな。将来どうするのかな」って感じたお店もいくつかあって。組合の広報理事をやらせていただいて「大丈夫だよ」って言えるようにする為にはどうすればいいか、「何かヒントはないかな」ってずって考えていました。

宮地■たぶん、みんな口に出して言わないけど、同じように大変で、でもその中で頑張っているんだなと思いますね。

 

広報■僕も初めて行くようなお店が多かったんだけど「面白いな」と思ったんですよね。普通のお店なんだけど、「悪くないじゃん。面白い、面白い」って。でも、そういう風に皆さんが思ってくれる訳じゃないことが、すごく難しいんだろうなとも思っていて。そこを「面白い、これがイイんだよ」って言えるようなところまで、どうやったらもっていけるんだろう。喫茶店も「純喫茶」って、ただの喫茶店に「純」とついただけなのになんか「格好いいな」って思うし、ただのコーヒーなのに美味しく感じちゃう、そんなマジックが起こせるようなところまでいかないかなぁって。

 

宮地■そういう魔法はないかなあ(笑)。全部の古本屋が無くなるとは思わないですけど。そもそも古本屋って今、増えてるんじゃないですかね?

 

広報■おそらく副業として開業する方は増えているかもしれないですけど、専業としては減っているんじゃないですかね。廃業していく方が多いから。業界、市場全体を良くするためには10年20年、本業として続いていって欲しいなって思います。自分の店だけだったら、もうちょっと長く続けられるだろうなって正直思います。でも、市場や組合が疲弊して、他がダメになった時に、果たして自分の店も長く続くのかな?って思うと疑問点があって。だから、業界全体を良くしないと結局、自分の店も良くなんないんだろうな、という実感はあります。

 

 

宮地■百年さんは自分のお店で買い取った本と市場で買った本の比率ってどのくらいなんですか?

 

広報■7対3くらいで、店でお客さんから買った方が多いです。よほど珍しい物じゃないと市場では買わないので。

 

宮地■それでもやっぱりそのように考えるんですね。それはこの2年間、広報のお仕事をされてより強くなったんですか?

 

広報■そうですね。自分のとこだけじゃダメなんだろうなっていうのはありますね。

いろいろ見させていただいた、っていうのもありますし。だから良くしていきたいなって思うんです。今回、ほうろうさんが組合に入ったことも、いい仲間が入ったみたいに感じて、すごく嬉しくて。

 

宮地■ありがとうございます。市場に行くと、当たり前ですけど普通にみなさんいらっしゃって。これまでお互いの店に行かないとなかなか話せなかった人と話す機会が増えたっていうのは、間違いなく入って良かったことの一つですね。この前も古書日月堂の佐藤さんと15分ほど立ち話をしたんですけど、とても大切な時間になりました。組合に入る前はそこには思いが至ってなくて、想像すらしてなかったんですけど、同業者のみなさんとお話する機会が増えそうなのは、ほんと良かったなって。

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