2010年08月31日

小改造・劇的?ビフォー・アフター

東京都杉並区高円寺。


サブカルチャー中心地に
とある問題を抱えた会館がありました。


風雨にさらされ、塗装の剥げが目立つ門扉。


誰が履いたかわからないスリッパへ
履き替えるなんて、絶対エンガチョなのだ。


出るとウワサの蠢く黒曜石・・・カサカサカサッッ!!!


利用される方々の安全性と利便性を向上させたい!
そんな願いをかなえるべく中央線の匠が立ち上がった。


なんということでしょう!

会館利用者に親しみやすい色使いに大変身。
休憩所へ向かう足取りも思わず軽くなるようです。


再スタートにふさわしく、清潔感のある白い壁紙が
蛍光灯の明かりをふんだんに反射させます。

うっかり穴の空いた靴下の日でも大丈夫。
これからはマイスリッパなんていりません。
控えめなこのお知らせに、謙虚さが溢れています。


匠からもうひとつ。
念願だった、女性専用のお手洗いも出来上がりました。

これからは女性も安心して利用できますね。

使いやすくなった西部古書会館にぜひいらしてください。

2010年08月04日

この夏、東部古書会館のあつい日々-番外編

「さよなら、はるみちゃん」

その痩せっぽちの野良ネコが東部古書会館にやってきたのはいつだったろう。

かれこれ10年近く前の初夏。
それまでのねぐらを追い出されたのだろうか、
生まれたばかりの子ネコをくわえて引っ越してきたのだ。

子ネコは3匹。
1匹はすでに死んで腐敗がはじまっていたのに、大事に抱えて離さなかった。
残った2匹のうち1匹はカラスに襲われた。
走りまわれるまでに成長した最後の1匹は車にひかれてしまった。

最後の1匹が死んだ夜、そのネコは戻らぬわが子を一晩じゅう呼びつづけた。


ほどなく会館の管理人のおばさんがそのネコを会館内に入れ、面倒をみるようになった。
野良ネコは「はるみちゃん」になった。
おばさんは、どちらかというと「おばあさん」に近い年齢なので、ネコの飼い方も昔ふうだ。
はるみちゃんは外を自由に歩きまわって暮らしていた。

散歩したあと、会館の引き戸を前足で開けて帰ってくる。

東部古書会館は本来、東京古書組合の東部支部が、
業者のための古書市場「古書交換会」を開いたり、
役員会に利用したりするための施設だ。

市場の開催中や役員会の最中に、引き戸が音もなくそっと開く。
事情を知らない人には、小さなネコの姿は目に入らない。
だから、引き戸がひとりでに開いたように見え、ギョッとしたものだ。


穏やかな年月が流れ過ぎていく。

以前の過酷な野良ネコ暮らしが響いたのだろう、はるみちゃんは急速に老けこみ、
座布団のうえでウトウトと過ごす時間が長くなっていった。

一方、人間の世界では大きな変化が進行していた。
2010年、東部古書会館は閉鎖されることになった。

5月。
会館の閉鎖が7月末、管理人さんの引っ越しが8月末と決まる。

なにやらあわただしい空気が漂いはじめたある朝。
はるみちゃんは初夏らしい爽やかな日差しのなかへフラっと出ていった。

そして、ふたたび戻らなかった。

後半生を過ごした東部会館と運命をともにするかのように。

この文のためにはるみちゃんの写真を探したら
やっと1枚、携帯電話で撮った横向きの画像が見つかった。
長い間ここで暮らして、残ったのはこの1枚と小さな食器ひとつ。

でも、そのほうが、
会館に寄り添ってひっそりと生き、いさぎよく去っていったはるみちゃんらしい-
といえば、らしいのかもしれない。

ボクもそんなふうに生きて死にたい。
ふと、そう思ったりもする。

(文責:東京古書組合東部支部・殿木祐介)

2010年07月30日

この夏、東部古書会館のあつい日々(2)

『笑顔でおわかれ』


ついにこの時がおとずれた。


40年弱、この地で東部支部のホームタウンとして
在り続けた会館が最終日を迎えたのだ。



最後のフリ市。
いつもより高く大きく積み重なった本の山、
人の多さが市場を盛り上げる。



2階に間借りしていた古書店さんもいた。
「道路に寝てるおじさんがよくいてねぇ」今も楽しい思い出話。
去年のイベントでは、ここから座布団を借りたっけ。



『なくなっちゃうと、やっぱりさびしいねぇ』


だから今だけは大いに盛り上がろう。




そして、さようなら

2010年07月24日

この夏、東部古書会館のあつい日々

『さよなら、泪橋古書展』


東京古書会館を始め、西部、南部の3ヶ所といえば、
定期的に即売展が開催されているので、
古書愛好家の方にはお馴染みかと思います。

また、この3地域で都内組合員数の半数以上を占めることや、
規模や立地条件などから、組合員さんにも交換会会場としての認知度、
利用頻度は比較的高いほうでしょう。

しかし東京都内には上記3ヶ所の他、板橋の北部、
南千住の東部を含め、5つもの古書会館が存在しています。
いえ、それも間もなく過去形での話となるでしょう。
7月をもって南千住・東部古書会館の歴史に幕が下ろされるのです。


そんな事が現実味をおびてきた昨年、誕生したのが
この「泪橋古書展」でした。



操車場の陸橋を渡り、貨物駅の脇を抜けてゆく。
小さな工場と住宅街、そして簡易宿泊所。
そういった中に東部古書会館があります。

長年この下町で商売を続けていても、催事は初めてという方も。


こちらは催事も大ベテラン。
左は、ねこ大好き殿木さん。東京の古本屋のコラムにある
理事の連載記事はこの方が書かれたものです。
 ◇「東京の古本屋」組合理事連載記事◇
  http://www.kosho.ne.jp/column/100708.html

右は、業界における下町のプリンス岡島さん。


他の会館と違うのは、管理人さんが常駐していたこと。
昭和の香り漂う屋内も、この方が清潔を保って下さいました。

催事が開かれる時には、ご近所にポスターを貼って下さったり、
お茶を用意して下さったり。
長い間、縁の下で支えていただきました。

この奥にはテレビのある一間。
小腹が空いたら、おやつをつまんだり。
この日は、膝をつき合わせ東部古書会館の想い出話など。


東部の帰り道、会館への地図を手にした方数人とすれ違いました。
例年以上に暑さ厳しい中、南千住まで足を運んでいただいた皆様
本当にありがとうございます。


そして7月27日 火曜日
東部古書会館最後の日をむかえます。

2010年07月08日

たまにはこんな〆もいいかと。

久しぶりに古書即売展の様子をご紹介。


今日は趣味展。本はもちろんですが、
見て楽しいものもたくさん並んでいます。

後ろの方にあるのは、木製の看板。

どれも大きさは、およそ50×40×3㎝。
そんなに大きいというわけではないけれど、
どんな商売をしているのか、何を扱っているのか一目瞭然。
街に溢れた現代の看板より、シンプルかつ効果的だと思う。


同じ業者さんの棚には他にもこんなものが。

鉄道写真は1箱
裏のメモ書きによると、上の写真は帝国ホテル周辺!?
SLが走っていたなんてビックリ。
下は奥多摩駅です。


うさぎ書林さんの棚には、
こんなにカラフルでかわいいマッチラベル。
左上には、冷やし中華で有名な神保町の名店、揚子江菜館のものも。


古書即売展や業者さんの交換会では、
自分が知っている場所やモノの昔の様子を
目にする機会がたくさんあります。

人の記憶を見ることはできないけれど、
何らかの形として残っていれば、後世の人間も共有することが出来る。
持ち主の手から、縁あって業者さんの手に渡り
また誰かの手に渡ってゆく。
埋もれてしまうものを、再評価して送り出していく事を
繰り返した日々が交換会や即売展の歴史となってきたのだ。

東京古書組合機関誌の「古書月報」によると、
「趣味の古書展」創立は昭和27年で、
現在古書会館で行われている即売展の中では
最も古い会になるという。