古書即売会の魅力 あれこれ即売会

鈴木 宏宗


図書館(史)とその周辺が興味をもっているテーマの一つで、それに関連する本や雑誌などをさがしている。関心のある分野はうつりかわってゆくものの古本屋に行くのは大学生の頃からかぞえてかれこれ20数年になる。古書即売会にはじめて行ったのは、それよりも何年かあとになる。きっかけは覚えていない。はじめてはいってみたのは東京古書会館の2階のはず。神田古本まつりの特選古書即売会が最初であったか、あるいは紀田順一郎氏の書物の本を…どの本だったかまでは覚えてないけれども…読んで行ってみたのではないかと思う。

毎週初日に通うほどではないが、時間があればなるべくおとずれるようにしている。初日の午後や二日目に行くことが多く、この時間は比較的混んでおらず、本棚をゆっくり見回せる。たとえば、岡田温『図書館』(社会科文庫)(三省堂、1949)を見つけたのは二日目の午後だったと思う。中学生向きでありバランスのとれた図書館の案内書である。背文字はほとんど読めなくなっていたが、うれしいことに月報の「社会科文庫だより」が挟み込まれていた。

戦前の図書館に関係しそうな、自分の関心のある分野の文献は、どういう即売会で買いやすいか、文学書や歴史、書物の本にも関連するかなぁ…といったことが頭に浮うぶこともある。ただ、特にひとつふたつの即売会のみに行くと決めているというわけではない。なんとなく関連する本をたまたま見つけるたのしさがあるので、気もそぞろになってでかけることが多い。それでも、どの古書即売会がどのような分野に向いているのかというのは気にかかる。

新宿展、ぐろりや会、新興古書展などなどいろいろとあって、はじめのうちはそれぞれの即売会のことはよくわからなかった。東京古書会館にくわえて西部古書会館や南部古書会館にも行くようになり、会場に入ってから、“今日はあたらしい本が多いのだなあ”とか“あ、和本が多い”と気がつくことも経験した。そのうちには即売会の販売目録にも手をふれるようになり、何となく傾向を覚えるようになってきた。ちょっと変わったものもでそうかなとか、安いかなとか、それぞれの傾向をたのしみながら足をのばしている。出品している古本屋については目録からうかがい知る面もあるけれども、即売会の傾向もふくめて、売り出したい特色について、『日本古書通信』に紹介の記事も見受けらえるが、もうすこし案内、宣伝を行ってもらえるとありがたい。また、これから、かつてのアンダーグラウンドブックカフェのように、あらたな即売会のこころみがあるかなと期待もしている。


日本図書館文化史研究会会員
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