日本の古本屋


日本の古本屋メールマガジン
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◆INDEX◆
1.自著を語るその8・「古書肆・弘文荘訪問記」について
2.古本屋に聞きたいこと、聞いてみたいこと ご意見募集!!
3.毎年恒例東京二大古本まつりのお知らせ
4.「古本屋が書いた本」展目録 通信販売のお知らせ
5.日本の古本屋即売展情報

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「自著を語る」コーナー、今回は青木正美さんの
「古書肆・弘文荘訪問記−反町茂雄の晩年」(日本古書通信社刊)
です。
 不世出の古書肆・弘文荘主人 反町茂雄氏の晩年10年間を、
業界人として、また、文章の人として畏敬してやまない著者が、
親しく接した日々の日記を通して描く、知られざる
人間反町茂雄像。「一古書肆の思い出」(平凡社ライブラリー)
の影に隠された悩める実像とは?業界内部ではよく話されてい
ても、文字には残されて来なかった反町氏の人柄が日記の記述
から明らかになってきます。

今回は青木正美氏に「古書肆・弘文荘訪問記」について書いて
いただきました。


■『古書肆・弘文荘訪問記』について■

 業界の巨人、弘文荘・反町茂雄氏が亡くなって、今年で十四年
になる。最後の言葉は夫人に向けた、「疲れたから眠ります。
起こさないで下さい」というものであった。

 それまで時に脚の血行障害が表れるくらいで、あの1991年、
反町氏は8月28日が来れば九十歳を迎え、やがて百歳へ向けて
歩まれる姿を、業界では誰一人疑わなかった。その2年前には世
評高い『一古書肆の思い出』の第四巻が出され、各冊一万数千冊
が売れていると、私も氏から聞いていたし、その老いてますます
盛んな生き方は、新聞テレビと引っぱり凧で、マスコミの寵児の
感があった。そして反町氏は、その後の第五巻完結篇の執筆を中
断、やり残した別の仕事『紙魚の昔がたり』(明治大正篇)の改
訂増補、及び『鶉屋書店飯田淳次氏の仕事と人』の執筆にも力を
注ぐ。
 翌90年半ばには、反町氏は突然同業の後進のために、東京古
書会館で、"古典籍十講"を開催、年内に「奈良絵本について」「
古活字版の歴史と価値・価格」「絵本と絵入本の諸相」「古写本
の流れ」と元気に講義した。そこへ運命の1991年が来るのだ。

 1月14日、反町氏には第7回東京都文化賞受賞の知らせがあ
り、18日の"古典籍十講"第5回「古写経」講演の日の会場は、
同時に業界始まって以来の慶事の話題で湧いた。同21日が授賞
式で、他の白洲正子、黒柳徹子などと並ぶ反町氏がテレビに映っ
た。

三月一日(金)
明治古典会なり。反町氏遅く来て、入札台の列を歩く。すれ違い
で挨拶しただけ。

 これは、私の日記に残る文字で、思えば反町氏の、これが自ら
組織して盛会に導いた会への最後の出席となる。3日後、氏は突
然胆のうを冐し山王病院へ入院、更に虎ノ門病院へ移り、半年後
の9月4日に没した。

 私が反町氏とお会いした最初は昭和40年暮、明治古典会に経
営員として入って以来である。すでに氏は、私などとは話をする
機会などない雲の上の人だった。それでも、市場で私が分不相応
の好きな作家原稿を買った時を見計らって、このどこの馬の骨と
も分からぬ場末の古本屋に声をかけてくれた。
 「あなたが買われた島崎藤村は、まだ有力なコレクターの話
を聞きません。どしどし買っておいて大丈夫ですよ」
 一方、私は反町氏とは別に、その頃「東京下町古本屋三十年」
なる自叙伝を完成しようとしており、願望として持ったのが、
あの反町氏に序文が貰えたらなあ、ということであった。幸運に
もそれが実現し、以来度々反町邸を訪問するようになり、いつか
私は帰りの電車の中などで氏の談話を思い浮かぶ限りメモするよ
うになった。その後私達が出し始めた季刊誌「古本屋」に、氏の
原稿を頂く等のご交誼も深まり、結果として多くの書簡も頂く。

 この度私は、日本古書通信社から、その意識的に記し続けた記
録と往復書簡より成る、古書肆・弘文荘訪問記 を発行すること
になった。

 必ずや、この稀に見る律儀で個性あふれる巨人の晩年がこの本
に浮かび出ることを信じたいのである。それは名著『一古書肆の
思い出』がどのように書かれたかの舞台裏でもあり、万一各位に
お読み頂けるなら、著者としてこれほどの喜びはない。


■青木 正美■
1933年東京に生まれる。1953年葛飾区堀切に古本屋
を開業。
著者に「古本屋控え帖」(東京堂出版、平成4年)
「古本屋奇人伝」(東京堂出版、平成5年)
「古本探偵追跡簿」(マルジュ社刊、平成7年)
「青春さまよい日記」(東京堂出版、平成9年)がある。
http://www.aokishoten.com/

■『古書肆・弘文荘訪問記−反町茂雄の晩年』■
著者:青木 正美
日本古書通信社刊
判型:B6判
ページ数:370ページ
定価:2,625円 (本体:2,500円)
ISBN:4-88914-022-0
好評発売中!
他詳細は、日本古書通信社ホームページにて!
http://www.kosho.co.jp/kotsu/toppage.htm

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■古本屋に聞きたいこと、聞いてみたいこと ご意見大募集!■

 10月4日『古書の日』に向けて皆様の意見をご参考にしたい
と思っております。ただし個々の返信はいたしかねますので、
ご了承下さい。ご意見はメールにて下記メールアドレスまで
お願いいたします。
info@kosho.or.jp (古書の日ご意見係まで)
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■毎年恒例東京二大古本まつりのお知らせ■

今年も東京を代表する二大古本まつりが開催されます。

 ●第20回早稲田青空古本祭●
  期間 2005年10/1(土)〜10/6(木)雨天決行!
  2005『読書の秋』はワセダから・・・
  http://www.w-furuhon.net/

 ●第46回東京名物神田古本まつり●
  期間 2005年10/28(金)〜11/3(木)
  一年一度100万冊の大バーゲン!

−詳しくは来月31号メールマガジンでお知らせ致します。
お楽しみに・・・・−

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■「古本屋が書いた本」展目録■

2005年4月21日から4月24日まで東京古書会館にて行われました
「古本屋が書いた本」展に合わせて目録を発行いたしました。
http://www.kosho.ne.jp/event/chosaku.htm

B5判、52ページ、700点以上もの著作を掲載。
1部500円(+送料210円)。

まだ残部がございますので、ご希望の方は、本代500円+送料210円
合計710円分の切手を同封のうえ、郵便番号、住所、氏名、電話番号
を明記のうえ郵便にて下記までお申し込み下さい。

  101-0052
  東京都千代田区神田小川町3-22
  東京古書組合・広報部 

まで。
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■日本の古本屋 即売展情報■
9月〜11月の即売展情報。
http://www.kosho.or.jp/servlet/sokubai.ksB001

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日本の古本屋バックナンバーは以下のURLからご覧いただけます。
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【バックナンバーコーナー】
http://www.kosho.ne.jp/melma/
次回は2005年9月下旬頃発行。
お楽しみに!
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     *全古書連は全国古書籍商組合連合会の略称です。
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日本の古本屋メールマガジンその30 2005.8.29
【発行】東京都古書籍商業協同組合:広報部・事業部・TKI
     東京都千代田区神田小川町3ー22 東京古書会館
     E-Mail melma@kosho.ne.jp (メールマガジン専用)
     URL http://www.kosho.or.jp/
【発行者】
広報部:中野照司 藤原栄志郎
事業部:田中隆志
TKI:岩森正文
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