日本の古本屋


日本の古本屋メールマガジン

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     。.☆.:* その48・10月25日号 *:.☆. 。
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◆INDEX◆
1.「古本屋になるための1日講座」講演内容のご紹介
2.「古本屋が書いた本」展目録
3.日本の古本屋即売展情報

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今回は10月9日に開催された「古本屋になるための1日講座」の
中から、日本古書通信社( http://www.kosho.co.jp/kotsu/ )
の樽見博氏の講演内容をご紹介したいと思います。


■痛みの分かる古本屋、記録すること■

 今年の八月でしたが、北陸の読者から電話がありまして、蔵書を
処分したいというお話しでした。二ヶ所に分かれていて、歴史の学
術書と文学書が二万冊くらいあるというのです。ただし、別宅の倉
庫においてある本は全てダンボールに入っていて、自宅の主なもの
は書棚に並べてあるがダンボールもかなりあるということでした。
全て処分したいということなので、ともかく拝見いたしましょうと、
八月の土曜日、私もそれなりに忙しいので、会社の休みの土曜日に
伺ったんです。非常に暑い日でした。
 
 伺うと新築されたばかりの二世帯住宅で、息子さんの家族と一緒
に住まわれることになったけれどその四十年間に集めた膨大な蔵書
を置く場所がない、年も取ったしこの際ことごとく処分することに
四ヶ月悩んだ末決意したというのです。長い読者ではあるんですが、
お会いしたのは初めてでした。皆さん驚かれると思いますが、地方
の割合大きな都市の古本屋でもこのくらいの量の蔵書になると買い
取ろうという古本屋はまずないと思います。この方もおそらく悩ん
だ末にうちに相談されたのだと思います。

 新築の家に入ると、本棚に入れてある本はごくわずかで、ダンボ
ールが山のように玄関から書庫の中まで積みあがっていました。自
宅の本は二千冊と伺っていたのですが、一万五千冊か二万冊くらい
ありました。もう一ヶ所、以前住んでおられたという家にはお話の
通り二百箱くらいが一階と二階に分かれておいてありました。場所
が遠いですから私も何度も行くわけには行きませんから、その日の
うちに運送業者に来てもらって、東京に運んだ場合の見積もりを出
してもらいました。最初の話では二万冊ですから四トン車一台で間
に合うと考えていたのですが、どう考えても二台分、人手もかかり
ますから結局三十二万ということでした。

 通常、古本を仕入れる場合は勿論全部を見て評価するわけですが、
この場合は殆どが箱の中ですから、何個か開けてみたところで、全
体を評価は出来ないわけです。うちの場合は、買取ではなくて委託
で処分し、手数料を頂くようにしていますが、それにしても今回は、
運送賃を引いて、何がしかの手数料を私どもで頂いて、その上でそ
の方にお金を支払えるか、必ずしも保障できない。その方は、蔵書
を処分して更にお金がかかるのはさすがに勘弁である、出来れば多
少とも小遣い銭くらいは残したいということで、誠にごもっとも、
古本の値段が低下しているとはいえ四十年間大事にされてきた蔵書
ですから、私もせめて何がしか残してあげたいけれど、何とも保障
できないという非常に苦しい仕入れでした。それでも結果的には全
体で三百数十万円にはなり、私もやっと肩の荷を降ろすことが出来
たのですが、考えて見れば、その方が本に費やされた金額や時間を
考えたら、誠にわずかの金額でしかありません。感謝はされたので
すが、長い読者でもありますし、心中を察すると複雑な感じもあり
ました。

 私も、「日本古書通信」の編集などの仕事の傍ら、買取はほとん
どないのですが、多くの蔵書の処分にタッチしてきました。その中
で思うのは、当たり前のことですが、一つとして同じ蔵書はないと
いうことです。本の内容は勿論ですが、集め方、整理の仕方、そし
て手放される理由もそれぞれ全て違います。蔵書というのはその方
の性格、ご家族との関係など全てを表しているようで、非常に興味
深いものがあります。それに特徴的なのは、遺蔵書の場合、真剣に
対応して下さるのは、蔵書の主の娘さんが殆どで、まず息子は無関
心、もしくは冷淡であることです。他の古本屋さんからそんな話は
聞いたことはないのですが、父親である作家の評伝を書くのは、殆
どが娘であるのと対応しているようで面白いとわたしは思っていま
す。

 古本屋の仕事は、つまるところ、お客様の蔵書の形成の手伝いを
することだと私は思います。一人のお客様と長いお付き合いを続け
ていくということです。そのためには信用がもっとも大切なわけで
す。そして、その方が亡くなられたり、あるいは高齢になって本が
不用になった時、その蔵書を処分し、また新たに必要とされる方へ
引き渡していく、この繰り返しが古本屋の大切な使命だと考えてい
ます。何も書物文化を支えるとか大層な名目ではなく、商人として
自分の客との関係を大切にすればよいのです。

 古書の商売というのは、本を売ってくださる方がいて初めて成立
します。今日私が皆さんにお話したいのは、古本屋になるのであれ
ば、蔵書を手放す方の、気持ちや痛みを分かる古本屋になっていた
だきたいということです。それは何も必要以上に高く評価して買う
ということではありません。蔵書を手放す方は、ある不安を抱きな
がらも、古本屋を信用して評価を任せるわけです。その信頼を裏切
るようなことをしてはいけないと思います。ベテランの古本屋でも
全ての本に精通しているわけではありませんし、何年やっていても
毎日のように知らない本に出会うのが古本の世界です。要は、売る
方も気持ちよく、古本屋も相応の儲けが出るようにきれいな商売が
できるようになって初めて一人前の古本屋といえるのです。古本屋
が本を評価するように、彼らは古本屋の人柄や書物の知識をそれと
なく値踏みしているのです。店がグチャグチャな古本屋を誰が信頼
するでしょうか、逆に見事な目録などを発行していれば、その店の
傾向や実力を認めて、蔵書の評価に対しても信頼するだろうと思い
ます。

続きはこちらへ→
http://www.kosho.ne.jp/event/huruhonya2006/houkoku/kouen03.htm


■樽見博 たるみひろし■
昭和29年茨城県生まれ。
法政大学法学部卒業。
昭和54年日本古書通信社入社。
「日本古書通信」の編集、「全国古本屋地図」の編纂などに従事。


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■「古本屋が書いた本」展目録■

2005年4月21日から4月24日まで東京古書会館にて
行われました「古本屋が書いた本」展に合わせて目録を発行
いたしました。
http://www.kosho.ne.jp/event/chosaku.htm

B5判、52ページ、700点以上もの著作を掲載。
1部500円(+送料210円)。

まだ残部がございますので、ご希望の方は、本代500円+送料
210円合計710円分の切手を同封のうえ、郵便番号、住所、
氏名、電話番号を明記のうえ郵便にて下記までお申し込み下さい。

101-0052
東京都千代田区神田小川町3−22
東京古書組合・広報部 

まで。

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■日本の古本屋 即売展情報■

10月〜12月の即売展情報
http://www.kosho.or.jp/servlet/sokubai.ksB001


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【バックナンバーコーナー】
http://www.kosho.ne.jp/melma/

次回は2006年11月下旬頃発行です。
お楽しみに!

*゜*.:*☆ 本を売るときは、全古書連加盟の古書店で ☆*.:*゜*
全古書連は全国古書籍商組合連合会(2,400店加盟)の略称です

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日本の古本屋メールマガジンその48 2006.10.25

【発行】東京都古書籍商業協同組合:広報部・TKI
    東京都千代田区神田小川町3−22 東京古書会館
    E-Mail melma@kosho.ne.jp (メールマガジン専用)
    URL  http://www.kosho.or.jp/

【発行者】
    広報部:内堀弘
    TKI:岩森正文

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