日本の古本屋


日本の古本屋メールマガジン
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     。.☆.:* その53・3月26日号 *:.☆. 。
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◆INDEX◆
1.シリーズ「活字の周辺」その2
  画集から図像資料集へーー『大正期新興美術資料集成』刊行まで
2.「古本屋が書いた本」展目録
3.日本の古本屋即売展情報

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■インターネット「日本の古本屋」をご利用いただきましてありが
とうございます。1月のリニューアルにより、おかげさまでいっそ
う多くのお客様にご利用いただけるようになりました。
インターネット「日本の古本屋」は、各ジャンル屈指の専門古書店
をはじめ、全国の「本探し」のプロが蒐めた幅広い古書を網羅する
我が国最大の古書検索サイトです。
どうぞ、今後ともご愛顧いただけますようお願い申し上げます。

■インターネット「日本の古本屋」では、書籍以外にも、チラシ、
ポスター、PR冊子、展覧会の図録など様々な資料を見つけること
ができます。そうした紙片には、その時代の息吹が強く刻まれてい
るものがあります。
今月の「活字の周辺」は、先日刊行された『大正期新興美術資料集
成』(国書刊行会 http://www.kokusho.co.jp/index.html )の共同
執筆者である五十殿利治さんにお願いしました。
前橋で開催された「マヴォ展」の図録という、そんな魅力的な紙片
があることも初めて知りました。

 

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【活字の周辺】
■画集から図像資料集へーー
            『大正期新興美術資料集成』刊行まで■

 書肆から大正期の新興美術(「アヴァンギャルド」と言われたの
だが)の画集を出したいという話があったのは、『大正期新興美術
運動の研究』(スカイドア、1995年)を出してしばらくしてか
らのことであった。しかし、その時点では企画としてすんなりと進
行することにはならなかった。まずこちらの用意が不足していた。
 そもそも大正期新興美術は作品として残されているものが少ない。
どうしても写真、あるいは不鮮明な図版によってその軌跡をたどる
ことをよぎなくされる。画集といえば、やはりそれなりにカラー図
版がなくてはいけないが、はたしてそれだけ集まるだろうか、とい
う問題である。

 事態が動き始めたのはチームを組んで対応することに決めてから
であるが、その土台となったのは、町田市立国際版画美術館を中心
にして開催された「極東ロシアのモダニズム」展(2002年)の
ための調査研究であった。これまでに例のない展覧会のために、滝
沢恭司氏がポーラ美術財団から研究助成を得て、滝沢氏、水沢勉氏、
そして五十殿がウラジオストクをはじめとする極東ロシア、そして
モスクワ・サンクトペテルブルクに調査旅行を行った。その経緯に
ついては、滝沢氏が同展カタログ序文に記されているので繰り返さ
ないが、研究の一環として同時代の大正期新興美術運動が極東ロシ
ア美術(とりわけブルリューク)の影響を受けた動向として調査対
象となったおかげで、研究成果を公表しようという機運が自然と調
査チームの間で形成されたのである。書肆に連絡したところ、さっ
そく担当者が快諾し、企画がスタートすることになった。チームに
は、さらに菊屋吉生氏、長門佐季氏、野崎たみ子氏に参加をお願い
することになった。

 本書のキーポイントは、年表を基軸にしたところにある。画集に
するとしても、新聞雑誌にしか掲載されないままの図版を、不鮮明
でもいいから極力多数を収載した資料集を考えていたので、展覧会
情報をひとつにまとめるもっとも自然な形と落ち着いた。もっとも、
当初は油彩、日本画、版画、構成物などとジャンルの担当を決めて、
それぞれが担当分野を調査するということであった。しかし、そう
した縦割りそのものがこの運動とは相容れない。菊屋氏が専門とす
る大正日本画の場合のように、むろん専門性は最大限尊重されてい
るが、年表作成については基本的にジャンルと関係なく各年で割り
振りを決めた。主要なカタログのデータ入力は院生に協力してもら
い順調に進んだが、実際には年表そして研究論文の作成に相当の時
間が必要であった。経験的にいって、本書に限らず、共同執筆はこ
うした難問から逃れられない。さいわい国書刊行会の担当者は辛抱
強く、着実に企画を具体化していった。

 本書はこれまで限られた研究者にしか知られていない展覧会に関
する会期、会場、出品作品、関連文献等の基本情報をまとめ、さら
に書籍雑誌の発行などの関連事項を補足して構成されている。これ
まで出版物や展覧会でよく取り上げられてきた「未来派美術協会」
「マヴォ」「三科」のみならず、地方都市(たとえば前橋のマヴォ
展)における小規模な展示もカバーしている。
さらに特筆すべきことは、「三科」以後、大正期美術運動の衰退期
についてこれまでにない注目を払ったことである。横井弘三による
理想展もこの運動の流れにおいてようやくその位置づけがみえてく
るのである。これはひとえに滝沢氏の精力的な調査の結果である。
これにより大正期新興美術運動のほぼ全容が捉えられたと私には思
われる。
あえていえば、ではその源流はどこに求められるものなのか。それ
がつぎの課題と浮上してこよう。


■五十殿利治(おむか・としはる)■
1951年生まれ。筑波大学教授。
著書に『大正期の新興美術運動の研究』(1995年)他。
共編著に『クラシックモダン』(せりか書房、2004年)他。

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■「古本屋が書いた本」展目録■

2005年4月21日から4月24日まで東京古書会館にて
行われました「古本屋が書いた本」展に合わせて目録を発行
いたしました。
http://www.kosho.ne.jp/event/chosaku.htm

B5判、52ページ、700点以上もの著作を掲載。
1部500円(+送料210円)。

まだ残部がございますので、ご希望の方は、本代500円+送料
210円合計710円分の切手を同封のうえ、郵便番号、住所、
氏名、電話番号を明記のうえ郵便にて下記までお申し込み下さい。

101-0052
東京都千代田区神田小川町3−22
東京古書組合・広報部 

まで。

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■日本の古本屋 即売展情報■

3月〜5月の即売展情報
http://www.kosho.or.jp/servlet/sokubai.ksB001


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次回は2007年4月下旬頃発行です。
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全古書連は全国古書籍商組合連合会(2,400店加盟)の略称です

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日本の古本屋メールマガジンその53 2007.3.26

【発行】東京都古書籍商業協同組合:広報部・TKI
    東京都千代田区神田小川町3−22 東京古書会館
    E-Mail melma@kosho.ne.jp (メールマガジン専用)
    URL  http://www.kosho.or.jp/

【発行者】
    広報部:内堀弘
    TKI:岩森正文

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