中央線支部 支部長の書店巡り

中央線支部
支部長の書店巡り vol.6



古書 音羽館
 杉並区西荻北 3-13-7 Tel: 03-5382-1587


 これまでの書店巡りは30代前半辺りの店主が切り盛りしている書店が中心であったが、今回はもう少し上の世代の本屋さんを訪ねた。店主の廣瀬洋一さんは48歳。音羽館は西荻窪北口を出て女子大通りをほんの少し歩けば到達するいい場所にある。よみた屋さんが営業していた店を畳むことになり、高原書店で一緒に働いたこともあるよみた屋さんの誘いもあって、ここで店を始めた。廣瀬さんは学生時代から横浜の有隣堂でアルバイトをし、その後高原書店で10年間働いた後、独立して2000年に音羽館を設立した。35歳の時だった。本屋以外の仕事をしたことがない。

店舗は14坪で間口も広いが、店内は真ん中に壁があって二つに分かれており、中間の開口部で行き来できるようになっている。一方が文庫本やサブカル系、一方が文学、美術、映画、人文関係全般の本が並んでいる。街の本屋だから一応何でも扱うというのが店の方針だ。女子大通りだから人通りは多いのだが、女子大生はほとんど立ち寄らないそうだ。客とちょっとしたことでも会話ができることが楽しいし、好きなので店を持つことにこだわった。客とのコミュニケーションを大切にしたいし、何よりも店を離れたくないという気持ちが強いので、人手が足りないこともあるとはいえ、即売会はやらないのだという。「日本の古本屋」以外ネット販 売もしていない。市場での売買と店売りが中心だ。

買取で出掛ける以外は、基本的に店のレジの横に座って本の値付け作業をしている。中央線沿線の古書店を訪れる客は高円寺、阿佐ヶ谷、荻窪、西荻窪と流れていくので値付けが大事だ。沿線の古書店の価格は他に比べて安めだと言われているが、音羽館の価格はその中でも安いと言われているそうだ。値段ぐらい自分で決めろとよく言われるが、この値付けでいいのかと不安になることもあり、「日本の古本屋」とアマゾンでの値段を見てから値段を決めているとのこと。すべての本についてそうしているから値付け作業にかなりの時間を取られ、昼飯を外で食べる暇もない。

当初は年中無休だったそうだが、い まは火曜日を定休日としている。2006年からほぼ毎月「西荻ブックマーク」というイベントを行っている。古 本屋、ライターやイラストレーター等出版に関わる人14、5人が核となって西荻周辺に住むクリエイターを招いて話を聞く会で、毎回30〜 100人が集まるそうだ。企画と準備が大変だけどイベントが終わった後は「あー、やってよかったな」と思う。フッと自分に戻れる瞬間なのだ。多忙は悪魔。息抜きと考える時間が欲しい。(K)

(この記事は中央線支部報2013年2月号から)


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