中央線支部 支部長の書店巡り

中央線支部
支部長の書店巡り vol.12



藤井書店 武蔵野市吉祥寺本町 1-11-20 TEL:0422-22-5043


JR吉祥寺駅北口を真っ直ぐ北に延びる商店街サンロードを抜けると五日市街道に出る。左折すると数軒目が藤井書店だ。一見、街の新刊本屋さんのようだが「古書藤井書店」の文字が読め、その下には大きく「買入古い本から新しい本まで」と書いた看板も出ている。創業60年だそうだ。インタビューのお相手は3代目の藤井里望さん、36歳である。

学生時代はバスケットボールをしていたそうで、大きな体で髪をポニーテイル風に後に引っ詰めハンチングを被っているから面と向かうと圧迫感があるが、口から出る声は小さくて優しい。電話を受けて宅買いに行ったときなんか、そのギャップに相手が戸惑うことがあるという。3代目だから生まれたときから古本の中で育ったようなものだ。

ごく自然に何の疑いもなく古書店の世界に入り、10代ですでに中央市の経営員を経験し、20代では即売展にのめりこんでいた。この時の人脈が市場の活用につながっている。組合の有難味は市場の存在ではないかと思う。他業種から古書業界に入ってきた人たちからは、ことに「いかに儲けるか」 という点で考え方に刺激を受けることが多い。

ただやはり業界を知ることは大事なことで、そのためにも経営員を経験し即売展にも積極的に参加する方がいいのではないかと思う。2代目の父親である希望さんは古稀を過ぎてなおいまも仕入と店売りを担当しているが、 いつまでも続くわけではないので里望さんはいつもその先のことを考えている。

古書店の命は買取にある。里望さんは週に2日は宅買いに出掛ける。近場が多いそうだ。 初代、2代と地元で長年培ってきた信用があればこそのありがたさ。ジャンルは問わない、 ほとんどすべて買い取ってくる。これを市場用・即売展用・店売用・インターネット用と仕分けて、本をどんどん回転させていくのだ。

凄いのはツブシがほとんど無いこと。2階の天井までぎっしりと詰まった書棚はいつも 入れ替わっているので、客にとってはいつも新鮮に見えワクワクする。学生時代から付き合い13年前に結婚したまだ女学生にしか見えない奥さんの佳奈さんの仕事はインター ネットの入力だ。このラブラブの若い二人の双肩には藤井書店の将来がかかっている。(K)

(この記事は中央線支部報2013年8月号から)


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