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仕入れを調整して余暇を取る
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仕入れを調整して余暇を取る

神田・かげろう文庫 佐藤 龍

 先日、海外の有名アウトドア用品メーカーの社長が書いた『社員を サーフィンに行かせよう』という本を読みました。 彼の言っている事はこうです。書名の通りに社長、社員共々いつでも 好きな時に好きなだけサーフィン、釣り、登山に育児でもする事が可能だ。良い波がきたら平日の勤務中でも、仕事を抜け出して波乗りに行っても良いし、まとめて休みを取ってヒマラヤ登山を存分に楽しんでも良し。

但し自分の仕事を完全にこなした上での条件はつきます。そしてその方が効率良く、責任を持って仕事をする上でうまく行くと言っています。本を読むとその考えはただの思いつきから始まったのでは無く、確固たる経営理念と戦略に基づいて築きあげたものとわかります。つい最近「休みたいなら辞めればいい」と発言した某日本企業の社長とは正反対の考えです。
 
斯く言う自分は古本屋として独立してからこのかた、盆暮れ以外はまとまった休みをとった事が有りません。古本屋というのは自営業の中でも長期の休みをとる事が出来る最右翼にいるのではないかと思うのですが、現実には自分の日本人的小市民根性がそうさせるのか、なかなか休暇をとる事が出来ません。この本を読む前から最近目標としているのが、長期休暇をいかに取るかという事です。
 
まずは昨年の秋から店舗の営業時間を1時間少なくしました。また以前、日曜日は店舗を開けないものの残務整理の為に頻繁に出勤をしていたのですが、余程仕事がたまっていない限り休む事としました。そして市場のある平日にも店は家族に任せて定期的に休みをとるようにしています。これでやっと人並みに休めるかなあという所ですので、次に試してみたいのが、臨時休業です。
  元々なぜ休みが思うようにとれないのかを考えると、心理的な要因として仕入れが滞るかもしれないという危機感です。いつお客様から買取の依頼が入るか、市場に探している本が出るか否か、それが故に毎日出勤し買取と仕入れをしてしまいます。その結果、自分の処理能力を遥かに超えた在庫を抱えてしまい、休む事が出来ないという悪循環が続いています。
 
私感ですが、近年、古書市場は古典籍や特定の本を除いては価格が低迷し、以前より大量の本が出回っていると思います。開業当時はこの状況がチャンスだと感じていましたし、現在もそれは変わりません。しかしこのお陰で仕入れ超過になり、年中無休に近い状態になってしまいました。そろそろ仕入れにもっと慎重になる必要が有るようです。
 
今、仕入れで意識しているのはお客様ともっとコミュニケーションをとり、そのニーズと嗜好に敏感になる事。時にはこちらから収集すべき書目についてアドバイスする等という事を心がけています。それにより在庫すべき本はある程度絞り込めるはずです。
 
最近、古本屋は物品販売業というよりはサービス業に近いと感じ始めました。他には無いサービスを提供できるならば、それに応えてくれるお客様が必ずいるし、少々の時間はお待ち頂けるはず…と夢想しているのですが…。そんな訳で近いうちに弊店へお越し予定の方は、長期臨時休業の恐れも有りますので事前のご確認をお願い致します。


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