エリーズ・ジラール監督×吉祥寺「百年」
10月14日新宿武蔵野館にて公開になる映画「静かなふたり」。田舎からパリに引っ越してきたばかりのマヴィは、パリ5区のカルチェ・ラタンの古本屋で働き始めます。店主のジョルジュとマヴィ、風変わりな二人が紡ぐ愛と人生の物語。普段から古書店には通っているという、来日中のエリーズ・ジラール監督と吉祥寺にある「百年」と今年2017年8月9日にオープンになった「一日」を訪れました。
「百年」にて
店主・樽本さん(以下、樽本)■うちでは古書も新刊書も扱っています。もともと色々なジャンルの作品を揃えていますが、海外からきたお客さんやフランス文学の先生もたくさん本を持ってきてくれて、バリエーションがより広がっています。
映画「静かなふたり」監督エリーズ・ジラールさん(以下、エリーズ)■パリのデゼコール通りにも日本の小説などを多く扱っているお店があってよく通っています。ここのお店、棚の色が映画のお店と同じ! あそこのは古くて壊れそうなものだったけど、ここのはもっと頑丈な棚ね。(笑)
樽本■作品の舞台ともなるカルチェ・ラタンの古書店は、実際にあるお店ですか?
エリーズ■はい、そうです。普段はロシア文学中心のお店で、哲学書も多く扱っているお店です。見つけるのにとても苦労しました。
樽本■そこに舞台を決めた理由はなんでしょう?
エリーズ■とても広いお店で、天井も高くて、撮影がしやすかったのが一番の理由です。ただ、店内にある物の配置を変える交渉や、実際にアレンジしていくのは大変でした。ロシアの本が多いので、そういうものは表紙が見えないようにしたり、本棚についている札を一つ一つ外したりしました。
樽本■なぜロシアの本は表紙を隠したのですか?
エリーズ■ロシア文字(キリル文字)は形が独特なので映画にもつイメージが崩れてしまうと思ったので。
絵:Michel Oliver 作:Sir Chrysostome/1966年
エリーズ■この絵本はミッシェル・オリバーのものですね。
樽本■これは初版のものです。
エリーズ■貴重ですね! 私の息子は15歳になりますが、日曜大工が好きなのに不器用で……買って行ってあげたいです。
エリーズ■CDやDVDもあるんですね、このBOXの中の『ヴァン・ゴッホ』には私も出演しています。(笑)
ダンスシーンにエリーズさんも出演されているのだとか!
直島で見つけられなかった杉本博司さんの写真集を見つけ、喜んでいました。
エリーズ■この小さな本は、エミリー・ブロンテの『嵐が丘』ですか?
樽本■はい、『嵐が丘』にバルテュスの挿絵が入っているんです。
エリーズ■素晴らしいですね、バルテュス大好きです! 息子の名前もバルテュスが由来になっているくらい。こんな本があるなんて知りませんでした。
「一日」にて
エリーズ■美しい本がたくさんありますね。
樽本■そういえば、劇中に登場するクモはたまたまいたのですか?
エリーズ■いいえ、実はあれは合成しているの。クモを手なずけている人がいて、お借りしたクモに出演してもらっています。
樽本■そんなことがあるんですね。
エリーズ■いろんな種類のクモが並んでいて、『このクモにします!』と選びましたよ。
エリーズ■ここは椅子が置いてあったり、ゆっくり本を探せますね。
樽本■ここでも本を扱っていますが、展示やイベントを多くやっています。
エリーズ■そうなんですね。
樽本■イベントなどを通して、人と人とがコミュニケーションできる場にしていこうと思っています。
エリーズ■素敵ですね。そんな本屋さんがもっとたくさんあるといいのに!
『静かなふたり』も田舎から引っ越してきたばかりのマヴィが、古書店の店主ジョルジュと心を通わせていく物語です。本や映画で人と人が繋がっていくのが私は好きです。パリにいらした際は是非一緒に古書店めぐりをしましょう。
『静かなふたり』
監督・脚本:エリーズ・ジラール
共同脚本:アンヌ=ルイーセ・トリヴィディク
撮影:レナード・ベルタ
音楽:ベルトラン・ブルガラ
出演:ロリータ・シャマ、ジャン・ソレル、ヴィルジニー・ルドワイヤン
2017年|フランス|カラ―|73分|原題:Drôles d’oiseaux|日本語字幕:寺尾次郎
提供:マーメイドフィルム
配給:コピアポア・フィルム
後援:在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本
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オフィシャルサイト
百年|12:00–21:30(火曜定休)
180-0004 武蔵野市吉祥寺本町2-2-10 村田ビル2F
一日|12:00–20:30(火曜定休)
180-0004 武蔵野市吉祥寺本町2-1-3 石上ビル1F
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