「書店票にみる東京の古書店」について 【書店票とは】 最近は見かけなくなってきましたが、以前は古書店で販売する本の後見返し(うしろみかえし=裏表紙をめくってすぐのページ)にその店独自の帳票が貼ってあるのが普通でした。名前は特になく、「値札」などとも呼んでいます。 再販制度のない昭和初期までは新刊書店でも使われたようです。現在の「スリップ」の前身ということになります。本来の形はこちらの画像のようなものです。 上半分(上券=うわけん)に店名や連絡先が、下半分(下券=したけん)に値段などを書き込む欄が印刷されています。「\7.5」は7円50銭でしょうね。販売するときに下券を切り離します。これは売り上げ伝票として使います。 上券は本に貼られたまま残ります。 販売した本になにか問題があったときの責任の所在をあきらかにするためでもあり、ふたたび本を売る際には「当店へ」という宣伝の意味合いもあります。特に持ち主の死後に蔵書を整理する際には、遺された家族はどこに処分を依頼すればいいかわからない場合が多い。そんな時の目安にもなります。自店で扱った本には責任を持つという古書店のプライドの表れであり、宣伝の機会でもあることから、各店がそれぞれ工夫と意匠を凝らしたものでした。【書店票コレクションについて】 東京古書組合の機関誌である「古書月報」が2020年6月で通巻500号を迎えるのを記念し、特別企画として掲載したものです。 2018-20年に機関誌編集を務めた東京組合員・徳尾書店さんが、長年にわたり仕入れた本に残っていた「上券」を剥がして保管していたものです。 東京古書組合機関誌部長 殿木祐介
東京都古書籍商業協同組合・機関紙部制作 (古書月報500号より転載)
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