【ご挨拶】
「第5回本にまつわる俳句大会」にたくさんのご応募ありがとうございました。
4年前に、神田古本まつりの一環として始まりました「本にまつわる俳句大会」ですが、入賞作品を発表しておりました「神保町公式ガイド」がリニューアルしたため掲載スペースが無くなり東京古書組合が引き継ぐことになりました。
ウエブ上の発表となりましたので、かねてより応募者からご要望のあった応募全句を掲載することといたしました。ご後援をいただいております本阿弥書店発行の「俳壇」にも入賞句は掲載され ます。兼題を「本にまつわる」としたことで最初は不安もありましたが、回を重ねるごとに様々な作品が寄せられて俳句の可能性を広げているように思います。
来年は第6回を迎えます。応募下さった方はもちろん、今回応募を見送った方々も、未知の方々も奮ってご応募下さい。
【選者】
池田澄子 神奈川県生まれ。堀井鶏「群島」入会。同人。三橋敏雄「檣の会」入会。現代俳句協会賞受賞。句集に『空の庭』『たましいの話』ほか。
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伊藤伊那男 長野県生まれ。皆川盤水の「春耕」入会。同人。俳人協会新人賞授賞。「銀漢」創刊。主宰。日本文芸家協会会員。俳人協会幹事。句集に『銀漢』『知命なほ』。
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遠藤若狭男 福井県生まれ。鷹羽守行「狩」入会。同人、編集長を経て退会。「若狭」創刊。主宰。日本文芸家協会会員。俳人協会評議員。句集に『神話』『青年』『船長』など。毎日俳壇賞受賞。評論『人生百景―松山足羽の世界』 本阿弥書店刊がNPO法人 日本詩歌句協会 第13回評論大賞を受賞。
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齋藤愼爾 京城生まれ(現・韓国ソウル特別市)。秋元不死男に師事。氷海賞受賞。深夜叢書社を設立。「季刊俳句」創刊。芸術選奨文部科学大臣賞受賞。芝不器男俳句新人賞選考委員。
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水内慶太 中国・北京生まれ。上田五千石に入門。「畦」同人。畦賞受賞。中原道夫「銀化」創刊に参加。俳人協会会員。「月の匣」創刊。主宰。句集に『月の匣』。
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宮坂静生 長野県生まれ。富安風生、加倉井秋を、藤田湘子に師事。「岳」創刊。主宰。現代俳句協会賞受賞。読売文学賞受賞。信州大学名誉教授。現代俳句協会会長。
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(敬称略・五十音順)
【受賞句】
大賞(池田澄子 特選3点 伊藤伊那男 入選2点 合計5点) | ||
★ 長き夜電子書籍が顔照らす | 宮武由佳子(みやたけゆかこ) | 兵庫 |
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東京古書組合賞(水内慶太 特選3点 遠藤若狭男 佳作1点 合計4点) | ||
★ 立ち読みで帰るか檸檬置くべきか | 砂山惠子(すなやまけいこ) | 愛媛 |
本阿弥書店賞(斎藤愼爾 特選3点 合計3点) | ||
★ 春愁や古書の値うちのあるなしも | 遠藤幸子(えんどうさちこ) | 群馬 |
以下、全応募作品(応募者の五十音順)。たくさんのご応募ありがとうございました。 次回もよろしくお願い申し上げます。
二行読み三行戻る夏の朝 | 相沢文子(あいざわふみこ) | 東京都 |
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百円の値をつけられて黴の古書 | 相沢文子(あいざわふみこ) | 東京都 |
古書を売る夫に炎天あるばかり 齋藤愼爾選 入選宮坂静生選 佳作 |
相沢文子(あいざわふみこ) | 東京都 |
棒銀の指南書古りし帰省かな | 飯豊彬(いいであきら) | 東京都 |
ドリップを待つ間の詩集登山小屋 | 飯豊彬(いいであきら) | 東京都 |
緑蔭に移動図書館来たりけり | 飯豊彬(いいであきら) | 東京都 |
背表紙は飾り窓めくけふの秋 宮坂静生選 入選 |
生田武(いくたたけし) | 東京都 |
立読みの古書より葉書荻の風 伊藤伊那男選 佳作 |
生田武(いくたたけし) | 東京都 |
入院の供に旅行記鰯雲 水内慶太選 佳作 |
生田武(いくたたけし) | 東京都 |
林檎?ぐさりとて姫は本に寝る | 石井きき(いしいきき) | 東京都 |
脚本のト書に濡れ場半夏生 | 石井きき(いしいきき) | 東京都 |
石榴割る和解のターヘル・アナトミア 池田澄子選 佳作 |
石井きき(いしいきき) | 東京都 |
七夕笹所望の古書を短冊に | 伊丹啓子(いたみけいこ) | 東京都 |
銀漢や紙魚の穴ある古典籍 | 伊丹啓子(いたみけいこ) | 東京都 |
紙魚唄う神保町の秋の暮 宮坂静生選 入選 |
伊丹啓子(いたみけいこ) | 東京都 |
黴兆す三方金の本革装 | 伊藤政三(いとうまさみ) | 東京都 |
大西日さす古書店に資本論 | 伊藤政三(いとうまさみ) | 東京都 |
試験前最後に見遣る参考書 | 伊藤政三(いとうまさみ) | 東京都 |
古書めくり栞に出合ふ秋の夜半 | 伊藤睦子(いとうむつこ) | 神奈川県 |
書架に並ぶ俳句の本や十年に | 伊藤睦子(いとうむつこ) | 神奈川県 |
旅行カバン句集も友よ花火祭 | 伊藤睦子(いとうむつこ) | 神奈川県 |
決めかねて二冊とも旅鞄へと 池田澄子選 入選 |
今井麦(いまいむぎ) | 東京都 |
夏山の匂ひ挟みし文庫本 | 今井麦(いまいむぎ) | 東京都 |
秋暁や真犯人は語り手と | 今井麦(いまいむぎ) | 東京都 |
ビヤホールの音の漏れ来る古本屋 | 今井麦(いまいむぎ) | 東京都 |
店先のグラビヤ焼ける油照 伊藤伊那男選 入選 |
今井麦(いまいむぎ) | 東京都 |
夏果ててまた読み返す太宰かな | 今井麦(いまいむぎ) | 東京都 |
何時読むつもりの「歎異抄」十二月 | 上嶋昭子(うえじまあきこ) | 新潟県 |
新刊の扉めくれば秋立ちぬ | 上嶋昭子(うえじまあきこ) | 新潟県 |
七月のサナトリウムに聖書伏せ | 上嶋昭子(うえじまあきこ) | 新潟県 |
迷宮に入るや晩夏の書肆の森 伊藤伊那男選 特選 |
浦戸和こ(うらとわこ) | 東京都 |
露更けて星また亡ぶ方丈記 | 浦戸和こ(うらとわこ) | 東京都 |
平積みの本に目移り秋隣 | 浦戸和こ(うらとわこ) | 東京都 |
吾と本出づる紙魚しわ数多かな | 遠藤幸子(えんどうさちこ) | 群馬県 |
春愁や古書の値うちのあるなしも 齋藤愼爾選 特選 |
遠藤幸子(えんどうさちこ) | 群馬県 |
イエスめく紙魚出づる最終章よ | 遠藤幸子(えんどうさちこ) | 群馬県 |
小さき手が絵本かかへる昼寝かな 遠藤若狭男選 佳作 |
太田滴(おおたしづく) | 愛媛県 |
1977年海とサガンと晩夏光 | 太田滴(おおたしづく) | 愛媛県 |
ぞはぞはと紙魚の横切る蔵書印 | 太田滴(おおたしづく) | 愛媛県 |
秋立つやけふの活字はセピア色 | 大野田井蛙(おおのだせいあ) | 埼玉県 |
デザートはいつも短篇秋ともし | 大野田井蛙(おおのだせいあ) | 埼玉県 |
与謝蕪村ポケットにある晩夏かな | 大野田井蛙(おおのだせいあ) | 埼玉県 |
ぞつき屋に積みある句集片時雨 池田澄子選 佳作 |
加賀城燕雀(かがじょうえんじゃく) | 愛媛県 |
古書市の為書き句集のうぜん花 水内慶太選 佳作 |
加賀城燕雀(かがじょうえんじゃく) | 愛媛県 |
辛口のカレー食せる夜の読書 | 加賀城燕雀(かがじょうえんじゃく) | 愛媛県 |
槍上ぐるドン・キホーテの戯画盛夏 水内慶太選 佳作 |
垣花千春(かきはなちはる) | 宮城県 |
画集より涼を賜る午後三時 | 垣花千春(かきはなちはる) | 宮城県 |
夏館父の手沢に邂逅す 水内慶太選 佳作池田澄子選 佳作 |
垣花千春(かきはなちはる) | 宮城県 |
炎天下魔女が招くよ古書の奥 | 笠島賢一郎(かさしまけんいちろう) | 福井県 |
稀覯本炎天下にも色褪せず | 笠島賢一郎(かさしまけんいちろう) | 福井県 |
谷崎忌古書を求むる逢魔時 | 笠島賢一郎(かさしまけんいちろう) | 福井県 |
古書店の隣コンビニ蝉生る | 勝谷美稲子(かつたにみねこ) | 埼玉県 |
枕にはドストエフスキー晩夏かな 宮坂静生選 入選 |
勝谷美稲子(かつたにみねこ) | 埼玉県 |
脳科学の新書手に取る梅開く | 勝谷美稲子(かつたにみねこ) | 埼玉県 |
帰省子の寧ろぐ先は古本屋 宮坂静生選 佳作 |
加藤多津子(かとうたずこ) | 愛知県 |
この頃は黴の香あらず古本屋 | 加藤多津子(かとうたずこ) | 愛知県 |
立読みの書店に開く自動ドアー | 加藤多津子(かとうたずこ) | 愛知県 |
新涼や手提げになじむ稽古本 | 加藤はな野(かとうはなの) | 静岡県 |
朗読の「新実南吉」秋燈し | 加藤はな野(かとうはなの) | 静岡県 |
芭蕉忌やドナルドキーンに思いはせ | 加藤はな野(かとうはなの) | 静岡県 |
この本の書込みも購ひ書肆の春 | 金子ふみ子(かねこふみこ) | 東京都 |
白昼夢にチャタレー夫人草陽炎 | 金子ふみ子(かねこふみこ) | 東京都 |
同じ台詞つぶやいてみる夜長かな | 金子ふみ子(かねこふみこ) | 東京都 |
縦横に積まれし古書や大西日 | 我部敬子(がべけいこ) | 東京都 |
脱稿を急かさるるごと法師? | 我部敬子(がべけいこ) | 東京都 |
生盆や家族史を出す話など 遠藤若狭男選 入選 |
我部敬子(がべけいこ) | 東京都 |
黴の世や終活となる本の束 | 神山ゆき子(かみやまゆきこ) | 静岡県 |
美しき句集の届く夏見舞 | 神山ゆき子(かみやまゆきこ) | 静岡県 |
黴まみれ野口英世の伝記本 | 神山ゆき子(かみやまゆきこ) | 静岡県 |
帰省して蔵書に父の昭和かな 齋藤愼爾選 入選 |
朽木直(くちきちょく) | 東京都 |
抽斗に皆勤賞の図書カード | 朽木直(くちきちょく) | 東京都 |
読書眼鏡胡桃二つを脇に置き | 朽木直(くちきちょく) | 東京都 |
サザエさんがまんがの一歩夏休み | 黒沢孝子(くろさわたかこ) | 長野県 |
古書店や紙魚の匂ひと日の匂ひ | 黒沢孝子(くろさわたかこ) | 長野県 |
新刊の匂ひ解くや翌は秋 | 黒沢孝子(くろさわたかこ) | 長野県 |
静寂につつまれ本をめくる音 | 香田明彦(こうだあきひこ) | 岐阜県 |
本を手に知的好奇心わいてくる | 香田明彦(こうだあきひこ) | 岐阜県 |
図書館で本の香りにつつまれて | 香田明彦(こうだあきひこ) | 岐阜県 |
煤逃や店主交へて古書談議 | 越仲高志(こしなかたかし) | 神奈川県 |
曝書百巻近世日本國民史 齋藤愼爾選 佳作遠藤若狭男選 入選 |
越仲高志(こしなかたかし) | 神奈川県 |
艶笑落語集に元校長の蔵書印 | 越仲高志(こしなかたかし) | 神奈川県 |
絵日傘を畳むめのこや図書択む | 駒田泰一(こまだたいいち) | 愛知県 |
八朔や陽差しの洩るる古典稀書 | 駒田泰一(こまだたいいち) | 愛知県 |
秋灯下両度繙く新刊書 | 駒田泰一(こまだたいいち) | 愛知県 |
蝉時雨移動図書館待つ親子 | 坂口和代(さかぐちかずよ) | 神奈川県 |
古本の傍線たどる夜長かな | 坂口和代(さかぐちかずよ) | 神奈川県 |
水澄むや父によく似た蔵書印 | 坂口和代(さかぐちかずよ) | 神奈川県 |
忘れろよあの古本で大儲け | 佐古田照三(さこだてるぞう) | 埼玉県 |
古本に四ツ葉の押花幸あれと | 佐古田照三(さこだてるぞう) | 埼玉県 |
九十にして改めて見る百冊の古書 | 佐古田照三(さこだてるぞう) | 埼玉県 |
万葉はも「むなぎ召せ」とな夏備へ | 佐古田安子(さこだやすこ) | 埼玉県 |
法話書の「生きることとは」茄子の馬 | 佐古田安子(さこだやすこ) | 埼玉県 |
押入れは子供の世界マンガ本 | 佐古田安子(さこだやすこ) | 埼玉県 |
「悦ちゃん」の曾孫とダブルやチューリップ | 佐古田安子(さこだやすこ) | 埼玉県 |
若き日の恩師ダンディー俳誌は春 | 佐古田安子(さこだやすこ) | 埼玉県 |
短夜や後朝あまたの案内書 | 佐古田安子(さこだやすこ) | 埼玉県 |
うすものや詠人知らずのあずま歌 | 佐古田安子(さこだやすこ) | 埼玉県 |
来し方や記紀も修せず胡瓜もむ | 佐古田安子(さこだやすこ) | 埼玉県 |
筆とれど文字を忘るる日の短 | 佐古田安子(さこだやすこ) | 埼玉県 |
アンよりもダイアナになりたいの春 | 塩川薫(しおかわかおる) | 栃木県 |
炎帝粛々読書家幽閉す | 塩川薫(しおかわかおる) | 栃木県 |
仲悪き作家並べてやる晩夏 池田澄子選 入選 |
塩川薫(しおかわかおる) | 栃木県 |
短夜の夢に編みたる一代記 齋藤愼爾選 入選 |
執行香(しぎょうこう) | 千葉県 |
海市へと「海底二万哩」かな | 執行香(しぎょうこう) | 千葉県 |
星河一滴地球誕生物語 | 執行香(しぎょうこう) | 千葉県 |
捕虫網立てマンガ本読む子かな | 島織布(しまおりーぶ) | 東京都 |
立ち読みの我に主の眼鏡越し | 島織布(しまおりーぶ) | 東京都 |
嵩張れる付録の本を買うてみる | 島織布(しまおりーぶ) | 東京都 |
下級武士定めはがゆし駅が過ぐ | 小景(しょうけい) | 京都府 |
書皮に穴のぞくカバーのつや嬉し | 小景(しょうけい) | 京都府 |
ひなのごと鞄の底の文庫本 齋藤愼爾選 佳作 |
小景(しょうけい) | 京都府 |
立読みの長きにはたきかけらるる | 白濱武子(しらはまたけこ) | 東京都 |
ハリーポッター耽読の子の朝寝かな 遠藤若狭男選 佳作 |
白濱武子(しらはまたけこ) | 東京都 |
煤逃げの追手払ひて図書館へ 宮坂静生選 佳作 |
白濱武子(しらはまたけこ) | 東京都 |
新刊や夢の膨らむ星祭 | 杉田小百合(すぎたさゆり) | 長野県 |
古書店に夫の青春遺稿集 宮坂静生選 入選 |
杉田小百合(すぎたさゆり) | 長野県 |
磨り減りて書架に座を占む亡夫日記 | 杉田小百合(すぎたさゆり) | 長野県 |
草笛や栞に君の走り書き | 祐森水香(すけもりみか) | 埼玉県 |
海風に曝す解体新書かな | 祐森水香(すけもりみか) | 埼玉県 |
絵草子の表紙の手擦れはたた神 遠藤若狭男選 入選 |
祐森水香(すけもりみか) | 埼玉県 |
心音にもつとも近き雪の稿 齋藤愼爾選 入選 |
鈴木恭子(すずききょうこ) | 埼玉県 |
蟭螟や賢者のことば溢るる書 宮坂静生選 特選 |
鈴木恭子(すずききょうこ) | 埼玉県 |
もの読まぬ日やこころまで着膨れて | 鈴木恭子(すずききょうこ) | 埼玉県 |
寄せ書きのいくたり欠けし曝書かな | 鈴木恭子(すずききょうこ) | 埼玉県 |
のらくろは昭和の勇者むぎこがし | 鈴木恭子(すずききょうこ) | 埼玉県 |
着膨れて気付くさみしさ画集閉づ 遠藤若狭男選 佳作 |
鈴木恭子(すずききょうこ) | 埼玉県 |
午睡の手の昆虫図譜を南風が繰る | 鈴木啓造(すずきけいぞう) | 静岡県 |
紙で切る指の血こぼし聖書凍つ | 鈴木啓造(すずきけいぞう) | 静岡県 |
隣室の書を風が繰る今朝の秋 | 鈴木啓造(すずきけいぞう) | 静岡県 |
文庫本に栞はさみて蝿叩 | 砂山恵子(すなやまけいこ) | 愛媛県 |
立ち読みで帰るか檸檬置くべきか [東京古書組合賞] 水内慶太選 特選遠藤若狭男選 佳作 |
砂山恵子(すなやまけいこ) | 愛媛県 |
栗飯やあと五ページのミステリー | 砂山恵子(すなやまけいこ) | 愛媛県 |
入院の荷に足す句集梅雨滂沱 | 瀬野ちひろ(せのちひろ) | 京都府 |
梅花藻の橋を渡りて図書館へ | 瀬野ちひろ(せのちひろ) | 京都府 |
夏風邪や猫の本詰む枕元 | 瀬野ちひろ(せのちひろ) | 京都府 |
日脚伸ぶ「海彦」つれて隅田川 | 染井かしこ(そめいかしこ) | 東京都 |
北塞ぎ明智小五郎登場す | 染井かしこ(そめいかしこ) | 東京都 |
雪の夜や枕絵にある火の匂ひ | 染井かしこ(そめいかしこ) | 東京都 |
歴史書の怨念食ぶる紙魚に会ふ 伊藤伊那男選 佳作 |
曽谷晴子(そやはるこ) | 神奈川県 |
清張の時刻表見る夜の秋 | 曽谷晴子(そやはるこ) | 神奈川県 |
団扇にて本を煽ぎぬ古書店主 宮坂静生選 入選 |
曽谷晴子(そやはるこ) | 神奈川県 |
獺祭も流れゆくとふ濃き出水 | 高橋孝伯(たかはしたかのり) | 愛媛県 |
あぶな絵や父の書斎に西日射す | 高橋孝伯(たかはしたかのり) | 愛媛県 |
不良図書投函箱のある日陰 池田澄子選 入選 |
高橋孝伯(たかはしたかのり) | 愛媛県 |
風鈴の下に広げるサザエさん 伊藤伊那男選 入選 |
武井まゆみ(たけいまゆみ) | 東京都 |
ホームズよりルパンを贔屓夏夕べ | 武井まゆみ(たけいまゆみ) | 東京都 |
植草甚一にふと会ひさうなブックカフェ | 武井まゆみ(たけいまゆみ) | 東京都 |
白樺派の父のロマンを曝書して | 武田花果(たけだかか) | 東京都 |
機械の本ばかり楽しむ夏休み 宮坂静生選 佳作 |
武田花果(たけだかか) | 東京都 |
セピア色の漫画積み上げ小児病棟 | 武田花果(たけだかか) | 東京都 |
夏の月平氏の流離想はざる | 武田禪次(たけだみねつぐ) | 東京都 |
南溟も北溟も八月十五日 | 武田禪次(たけだみねつぐ) | 東京都 |
邯鄲の夢を見たくて古書街へ 伊藤伊那男選 佳作 |
武田禪次(たけだみねつぐ) | 東京都 |
光秀の本読み返す夏の夜 | 帯刀勝子(たてわきかつこ) | 京都府 |
五月晴巨大地震の本開く | 帯刀勝子(たてわきかつこ) | 京都府 |
梅雨明や昔ながらの料理本 | 帯刀勝子(たてわきかつこ) | 京都府 |
燈火親し古書奥付の検印も 遠藤若狭男選 佳作 |
田中喜翔(たなかきしょう) | 千葉県 |
燈火親し正座して読む獄中記 | 田中喜翔(たなかきしょう) | 千葉県 |
けやき書店の高き踏台夜の秋 池田澄子選 佳作 |
田中喜翔(たなかきしょう) | 千葉県 |
夜の秋へ沙翁の科白うらがへす 水内慶太選 入選 |
谷口いづみ(たにぐちいづみ) | 神奈川県 |
水飯やエノラ・ゲイから撮りし街 池田澄子選 入選 |
谷口いづみ(たにぐちいづみ) | 神奈川県 |
古書店の隅が避暑地といふ暮らし 宮坂静生選 佳作 |
谷口いづみ(たにぐちいづみ) | 神奈川県 |
和綴本繰るたび茶立虫鳴かす | 谷口いづみ(たにぐちいづみ) | 神奈川県 |
かなかなや酒のあてなる江戸古地図 遠藤若狭男選 入選 |
谷口いづみ(たにぐちいづみ) | 神奈川県 |
浮舟てふをんな厭はし秋蛍 齋藤愼爾選 佳作 |
谷口いづみ(たにぐちいづみ) | 神奈川県 |
読み止しの本を枕に春炬燵 | 谷口美枝(たにぐちよしえ) | 岐阜県 |
経本の手擦れのあとの梅雨湿り | 谷口美枝(たにぐちよしえ) | 岐阜県 |
降る雪や古寺巡りは本の中 | 谷口美枝(たにぐちよしえ) | 岐阜県 |
拙作の載る受験誌に邂逅す | 鶴田幸男(つるたゆきお) | 東京都 |
書込に同志の気魄大西日 | 鶴田幸男(つるたゆきお) | 東京都 |
荷の重き古書店街に灼かれけり | 鶴田幸男(つるたゆきお) | 東京都 |
積読の棚からもれる悲鳴かな | 栩木和美(とちぎかずみ) | 東京都 |
俳句本揃えてくやし読み切れず | 栩木和美(とちぎかずみ) | 東京都 |
文庫本ポッケに納り友となす | 栩木和美(とちぎかずみ) | 東京都 |
新茶汲む歳時記といふ宝箱 | 中島芳江(なかじまよしえ) | 千葉県 |
夏草や書架に手擦れの三国志 | 中島芳江(なかじまよしえ) | 千葉県 |
夜の秋古書を舐めゆく雲母虫 | 中島芳江(なかじまよしえ) | 千葉県 |
合歓の花朋友の著者故宮訪 | 中村昌生(なかむらしょうせい) | 福岡県 |
住職の系譜がかたる龍徳寺 | 中村昌生(なかむらしょうせい) | 福岡県 |
懐かしや古書に挟んだゼミの友 | 中村昌生(なかむらしょうせい) | 福岡県 |
夏の旅短編も未だ荷のままに 齋藤愼爾選 入選 |
中村順子(なかむらよりこ) | 埼玉県 |
ソーダ水本の話の結ぶ縁 | 中村順子(なかむらよりこ) | 埼玉県 |
帰省子のページ繰る音古座敷 | 中村順子(なかむらよりこ) | 埼玉県 |
「年玉に本買うてやる」伯父は戯れ | 新森しなの(にいもりしなの) | 京都府 |
拾ひ読みしグリム童話や彼岸過 | 新森しなの(にいもりしなの) | 京都府 |
乱読を決めて麦酒と五六冊 | 新森しなの(にいもりしなの) | 京都府 |
帰省せぬ兄の本読む「罪と罰」 | 野上草風(のがみそうふう) | 千葉県 |
新刊の匂ひにとんぼ本の虫 | 野上草風(のがみそうふう) | 千葉県 |
古書店の「漱石全集」高からず | 野上草風(のがみそうふう) | 千葉県 |
雷鳴や辞書魔道書に変貌す | 初霜若葉(はつしもわかば) | 京都府 |
一頁落ちて私の秋が往く | 初霜若葉(はつしもわかば) | 京都府 |
初春や本は師弟で親と子で | 初霜若葉(はつしもわかば) | 京都府 |
知を分けて貰ひ図書館無料です | 馬場菊子(ばばきくこ) | 群馬県 |
読み聞かす子が寝るまでの人魚姫 | 馬場菊子(ばばきくこ) | 群馬県 |
図書館に智の無尽蔵涼少し | 馬場菊子(ばばきくこ) | 群馬県 |
本の旅人から村へ世界飛ぶ | 濵子美作子(はまこみさこ) | 愛知県 |
天の川歌集不要の人魚姫 | 濵子美作子(はまこみさこ) | 愛知県 |
流星雨本に人魚を閉じ込める 伊藤伊那男選 佳作池田澄子選 入選 |
濵子美作子(はまこみさこ) | 愛知県 |
探求本安値で入手ビール酌む 遠藤若狭男選 入選 |
日景洋一(ひかげよういち) | 東京都 |
手の汗を拭ひて見入る貴重本 | 日景洋一(ひかげよういち) | 東京都 |
装幀の美しき本購ふ夏の午後 | 日景洋一(ひかげよういち) | 東京都 |
読み止しの一茶の涼し猫ねむる | 苳羊右子(ふきようこ) | 京都府 |
立ち読みの白靴書肆に待ち合はす | 苳羊右子(ふきようこ) | 京都府 |
でこぼこに立つ絵本棚雲の峰 伊藤伊那男選 入選 |
苳羊右子(ふきようこ) | 京都府 |
一円の届きし本や虹の橋 | 細井典子(ほそいのりこ) | 静岡県 |
夏怒涛どう生きようかコペル君 | 細井典子(ほそいのりこ) | 静岡県 |
何時となし背表紙立てり入門書 | 細井典子(ほそいのりこ) | 静岡県 |
貸本を返しそびれて卒業す | 堀内清瀬(ほりうちきよせ) | 東京都 |
貸本をむさぼり山手線一周す | 堀内清瀬(ほりうちきよせ) | 東京都 |
一日で上・中・下巻読破する | 堀内清瀬(ほりうちきよせ) | 東京都 |
新涼や辞書のページをめくる風 | 本郷正子(ほんごうまさこ) | 宮城県 |
買い取りを断られけり愛蔵本 | 本郷正子(ほんごうまさこ) | 宮城県 |
新涼や小膝に乗するファッション誌 伊藤伊那男選 入選 |
本郷正子(ほんごうまさこ) | 宮城県 |
紙魚走る鬼籍に入りし師の句集 遠藤若狭男選 特選 |
松岡惠美子(まつおかえみこ) | 京都府 |
歳時記に秋の出水の泥乾く 水内慶太選 入選伊藤伊那男選 佳作 |
松岡惠美子(まつおかえみこ) | 京都府 |
風薫る「俳壇年鑑」我が名載り | 松岡惠美子(まつおかえみこ) | 京都府 |
図書室の目玉給食レシピ集 | 松木直子(まつきなおこ) | 東京都 |
図書室の畳桟敷や夏休み | 松木直子(まつきなおこ) | 東京都 |
古書といふ小さきつづらや獺祭忌 | 松木直子(まつきなおこ) | 東京都 |
臍の緒の取れぬ子に買ふ白雪姫 | 松下勝昭(まつしたかつあき) | 長野県 |
秋よ来ひ銭形平次待つてゐる | 松下勝昭(まつしたかつあき) | 長野県 |
炎帝や全集揃へ待つ余裕 | 松下勝昭(まつしたかつあき) | 長野県 |
日焼けせる百円本は無雑作に | 右田俊郎(みぎたとしろう) | 東京都 |
秋の灯や古書のページに付箋貼る | 右田俊郎(みぎたとしろう) | 東京都 |
吾著書は書店の隅に鳳仙花 | 右田俊郎(みぎたとしろう) | 東京都 |
五十万都市半径1キロ本屋なし | 宮武由佳子(みやたけゆかこ) | 兵庫県 |
告知うけあわてて呼んだ古本屋 | 宮武由佳子(みやたけゆかこ) | 兵庫県 |
新刊の大活字本は無理かなあ | 宮武由佳子(みやたけゆかこ) | 兵庫県 |
行つてみたいチャリングクロス84 | 宮武由佳子(みやたけゆかこ) | 兵庫県 |
長き夜電子書籍が顔照らす [大賞] 伊藤伊那男選 入選池田澄子選 特選 |
宮武由佳子(みやたけゆかこ) | 兵庫県 |
伊英辞書日本の国旗が赤十字 | 宮武由佳子(みやたけゆかこ) | 兵庫県 |
赤鬼と一緒に泣きて午睡かな 池田澄子選 佳作 |
宮本起代子(みやもときよこ) | 神奈川県 |
ドカベンをまはし読みせり夜学校 | 宮本起代子(みやもときよこ) | 神奈川県 |
悪役に肩入れしたき夜長かな 水内慶太選 入選 |
宮本起代子(みやもときよこ) | 神奈川県 |
父偲ぶ一書を抜きて書架涼し | 森千鶴子(もりちづこ) | 静岡県 |
万葉集衣紐解く夜半の月 | 森千鶴子(もりちづこ) | 静岡県 |
蛇笏忌や棒線の息考蔵書 | 森千鶴子(もりちづこ) | 静岡県 |
強東風に付箋貼る手の定まらず | 森哲州(もりてっしゅう) | 岡山県 |
風鈴の舌かみあわぬ読書かな | 森哲州(もりてっしゅう) | 岡山県 |
マルクスへ一直線に紙魚走る | 森哲州(もりてっしゅう) | 岡山県 |
帰省してまづ母と行く本屋かな | 森羽久衣(もりはくい) | 東京都 |
医学書を買うだけ買つて鰯雲 | 森羽久衣(もりはくい) | 東京都 |
医学書のはづが新酒のなみなみと | 森羽久衣(もりはくい) | 東京都 |
教典の不飯酒戒や新走 | 森光矢(もりみつや) | 静岡県 |
紙魚走り書架を追はるる駄本かな | 森光矢(もりみつや) | 静岡県 |
キリシタン聖書を隠し墓洗ひ | 森光矢(もりみつや) | 静岡県 |
百代の枯葉の栞古書の旅 水内慶太選 入選齋藤愼爾選 佳作 |
保田貴子(やすだたかこ) | 東京都 |
ガンジーとヒトラー並び山眠る | 保田貴子(やすだたかこ) | 東京都 |
時刻表繰る病室の夜長旅 水内慶太選 佳作 |
保田貴子(やすだたかこ) | 東京都 |
文月や宝をもらひ本閉じぬ | 安村庵村(やすむらあんそん) | 東京都 |
ミステリー読了決めかね夜長かな | 安村庵村(やすむらあんそん) | 東京都 |
想ひ込め栞とするや桜草 | 安村庵村(やすむらあんそん) | 東京都 |
詩心の深く沈めり蓮見かな | 安村庵村(やすむらあんそん) | 東京都 |
書に飽きて浄土となりぬ蓮見舟 | 安村庵村(やすむらあんそん) | 東京都 |
書も人も焼かれ平和の手記残る | 安村庵村(やすむらあんそん) | 東京都 |
奈良行のバス待つ和辻哲郎忌 | 山下美佐(やましたみさ) | 東京都 |
昼寝覚感想文は夢に消え | 山下美佐(やましたみさ) | 東京都 |
秋成の吉備津の釜やそぞろ寒 | 山下美佐(やましたみさ) | 東京都 |
明星は母のバイブル夕河鹿 水内慶太選 入選 |
吉澤利枝(よしざわとしえ) | 東京都 |
誘蛾灯晶子の詩が子守唄 | 吉澤利枝(よしざわとしえ) | 東京都 |
化粧品持たぬバックに新刊書 | 吉澤利枝(よしざわとしえ) | 東京都 |
積ん読の楽しみ溜めて三尺寝 | 吉田勝郎(よしだかつろう) | 静岡県 |
古書籍の開らきしままの終戦日 | 吉田勝郎(よしだかつろう) | 静岡県 |
風薫る播く古書の蘇り | 吉田勝郎(よしだかつろう) | 静岡県 |
つれづれの「昭和歌謡史」秋灯下 | ろくかふ潤一(ろっこうじゅんいち) | 神奈川県 |
夏百日一書貸したり返したり 齋藤愼爾選 佳作 |
ろくかふ潤一(ろっこうじゅんいち) | 神奈川県 |
借りし書も共に曝せり年の臍 | ろくかふ潤一(ろっこうじゅんいち) | 神奈川県 |